COVID-19流行下の熱中症対応の手引き

2020/08/21

 本格的な夏を迎え、熱中症による搬送数も増えている臨床現場では、今までの夏とは異なり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染防止に配慮した対応に迫られている。

 先般、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会はワーキンググループを構成し、6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を発表した。そして、今回この提言の追補版として、国内外の論文2,736件の情報を抽出し、臨床現場で活用可能な「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き」を作成し、公開を開始した。

 本手引は、6つのクリニカルクエスチョンに対し、詳細に解説を加える体裁で書かれ、今後も4学会では情報収集とアップデートを行うとしている。

クリニカルクエスチョン一覧

・予防(マスク・エアコン)

Q 熱中症を予防する上でのマスク着用の注意点は何か?

A マスクを着用する際は、長期間(1時間以上)の運動を避けることが望ましい。

Q COVID-19の予防で「密閉」空間にしないようにしながら、熱中症を予防するためには、どのようにエアコンを用いるべきか?

A 換気により室内温度が高くなるため、エアコンの温度設定を下げるなどの調整を行い、熱中症対策とCOVID-19対策を両立することが望ましい。

・診断(臨床症状・血液検査・CT 検査)

Q 熱中症とCOVID-19は臨床症状から鑑別できるか?

A 呼吸器症状や嗅覚障害・味覚障害を認める場合はCOVID-19を疑う根拠になるが、臨床症状のみから熱中症とCOVID-19を鑑別することは困難である。

Q 血液検査は熱中症とCOVID-19の鑑別に有用か?

A 両者の鑑別に有用な血液検査の検査項目はない。

Q 高体温、意識障害で熱中症を疑う患者の CT 検査はCOVID-19の鑑別診断に有用か?

A 確定診断のための有用性は低いが、除外診断に一定の役割を果たしうるため、とくにCOVID-19を疑う患者においては、スクリーニング検査として実施することが望ましい。

・治療(冷却法)

Q 従来同様、蒸散冷却法を用いて、患者を冷却してよいか?

A 蒸散冷却法は原則使用せず、各施設での使用経験や準備の状況に応じて、蒸散冷却法の代替となる冷却法を選択するのが望ましい。

記事監修

日本小児科学会認定小児科専門医
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓(すずきみきひろ)