2型糖尿病発症につながる兆候は8歳で早くも見られる
2020/08/26
8歳の子どもの時点で、成人期の2型糖尿病の発症リスク上昇の兆候が認められる可能性があるという報告が2020年7月に医学雑誌に掲載されました。
小児の遺伝的リスクとコレステロールとの関係を解析したところ、2型糖尿病の発症に関連する特有のパターンが認められました。
論文の筆頭著者である英ブリストル大学のJoshua Bell氏は、
「糖尿病は一晩で発症するような疾患ではありません。しかし、患者の人生のいつから疾患活動性の兆候が見てとれるのか?そして、そのような兆候はどのようなかたちで現れるのかは知られていませんでした」と研究の背景を語っています。
2型糖尿病は高齢者に多い疾患ですが、その発症につながる兆候は糖尿病と診断される50年も前に既に現れている可能性があり、その兆候をキャッチできれば糖尿病に対してより早い段階で予防や治療を開始し、健康障害の発生を食い止める機会が広がります。
Bell氏らの研究は、8歳、16歳、18歳、25歳の約4,000人の血液サンプルを用いて調べました。
その結果、8歳時点での特定の粒子サイズのコレステロールと2型糖尿病発症リスクが関係することが明らかになりました。
この変化は、動脈硬化のリスクである悪玉コレステロールを含む他のコレステロールの上昇が現れる前に生じていました。またこれらの変化は、成長とともに拡大していました。
この研究結果の解釈についてBell氏は
「糖尿病のなりやすさがわかりました。しかし、異常値がある子供が、糖尿病になっていることを意味するものではない。人生の後半に糖尿病を発症する傾向がある人がわかるだけだ」と述べています。
また同氏は
「これらの研究結果は、糖尿病がどのように発症していくのか、そして、糖尿病とその合併症の発症を防ぐためにより早い段階で介入するには、どのような特徴が標的となり得るのかという疑問の解明に役立つ」
と研究の意義をまとめています。
さらに、血糖関連の健康障害は糖尿病と診断された患者のみに限らず、糖尿病予備群を含むより多くの人々にも、心血管疾患のリスク増大などの影響を及ぼすことから、早期介入の標的を明らかにすることの重要性を強調しています。
記事監修
- 日本小児科学会認定小児科専門医
- すずきこどもクリニック
鈴木幹啓(すずきみきひろ)
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