合併症のない小児虫垂炎、抗菌薬療法vs.手術

2020/08/26

 合併症のない小児虫垂炎において、抗菌薬療法のみの非外科的治療戦略の初回治療成功率は67.1%であり、外科的治療戦略と比較して、1年後の障害日数は統計学的に有意に少なかったことが、米国・オハイオ州立大学医学校のPeter C. Minneci氏らによる検討の結果が示された。
現在、小児および青少年の虫垂炎の大半は外科的治療で行われているが、研究グループは、抗菌薬療法のみの非外科的治療は、患児および家族への悪影響を少なく治療できる可能性があり、患児と家族に好まれるのではないかとして本検討を行った。

1年時点で、障害日数と抗菌薬療法群の成功率を評価
 合併症のない小児虫垂炎における、非外科的治療の成功率を明らかにし、非外科的治療群と外科的治療群間の治療関連の障害、満足度、健康関連QOLおよび合併症の差を比較する検討された。

 被験者は2015年5月~2018年10月に、合併症のない虫垂炎を呈し米国7州の3次小児病院10施設で治療を受け、1年間の追跡(最終2019年10月)を受けた7~17歳の小児であった。

 対象患児と家族による選択で、抗菌薬療法のみの非外科的治療(抗菌薬療法群)、または入院12時間以内の腹腔鏡下虫垂切除術(手術群)のいずれかを受けてもらい追跡評価した。

 主要アウトカムは2つで

  • 1年時点で評価した障害日数(虫垂炎関連の二次的ケアのためにすべての通常の活動に参加できなかった全日数で定義[予想した差異は5日間])
  • 抗菌薬療法群の成功率(初回抗菌薬療法のみで1年時点まで虫垂切除術を受けなかった患者の割合と定義[最低許容成功率70%以上])

抗菌薬療法群の障害日数の平均群間差は-4.3日、成功率は67.1%
 *35%が抗菌薬療法を選択、65%が手術を選択した。

2つの間で有意差は示されなかった。

記事監修

日本小児科学会認定小児科専門医
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓(すずきみきひろ)