花粉症が労働生産性にも影響するというのは本当?

2020/08/26

花粉症による労働生産性の低下も念頭に置くことは社会的にも意義があります。
スギ花粉症の年齢層別有病率をみると、40歳代が最も高く、次いで30歳代、50歳代と労働に精力的な年齢層において高いことが示されています。
そのため、花粉症の症状により仕事に影響が出ていないかを確認することもポイントの一つと考えられます。

さまざまな疾患の労働生産性損失を検討した米国の報告では、アレルギー性鼻炎は有病率が55%と最も高く、労働生産性損失も最も大きいです。
アレルギー性鼻炎による企業での労働生産性損失を他の疾患と比較した米国の研究では、アレルギー性鼻炎の有病率が55%と最も高く、損失額も最も大きいことが示されました。

アレルギー性鼻炎では「欠勤、遅刻、早退」よりも「職場には出ているものの病気で労働生産性が低下した状態」による損失のほうが大きいと報告されています

アレルギー性鼻炎の労働生産性への影響を検討したところ、仕事の生産性および活動障害に関する質問票に基づく労働生産性低下の割合は「欠勤、遅刻、早退」が2.3%、「職場には出ているものの病気で労働生産性が低下した状態」が32.5%で「職場には出ているものの病気で労働生産性が低下した状態」による労働生産性損失のほうが大きかったことが報告されています。

薬物治療により勉強や仕事の効率が向上しました。
さらに、効率が向上したと回答した患者さんでは、治療満足度が高かったことがわかりました。
スギ花粉症のために毎年花粉症治療薬を使用しており、2008年のスギ花粉症シーズンにも薬剤の使用意向がある花粉症患者さんを対象に、治療実態と睡眠への影響についてインターネット調査が実施されました。
その中で、スギ花粉飛散シーズンに花粉症治療を受けるために医療機関を受診した患者さんを対象に花粉症の症状が睡眠に及ぼす影響について、スギ・ヒノキ科花粉飛散終了後に調査したところ
とても影響がある(25.4%)
影響がある(51.4%)
を合わせ約8割の患者さんが睡眠への影響を訴えました。

また、「花粉症治療薬により仕事・勉強の効率が上がったか」を聞いたところ
「上がったと思う」が23.3%
「やや上がったと思う」が55.3%
で約8割の患者さんが花粉症治療薬により仕事・勉強の効率が上がったと回答しました。さらに、仕事・勉強の効率が上がったと回答した患者さんでは、治療に対する満足度も高かったことが示されました5)。
労働生産性および患者満足度の観点からも、中枢抑制作用だけでなく、症状抑制効果、効果発現までの時間、効果の持続性を踏まえた薬剤選択が求められると考えられます。加えて、勉強や仕事に忙しい患者さんには服用タイミングも考慮すべき点のひとつになる可能性があります。

花粉症が労働生産性にも影響するというのは本当ですか?
花粉症による労働生産性低下も念頭に置くことは社会的にも意義があると考えられます。
労働生産性に加え、患者満足度の観点からも、中枢抑制作用とともに、症状抑制効果、効果発現までの時間、効果の持続性を踏まえた薬を処方してもらいましょう。

記事監修

日本小児科学会認定小児科専門医
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓(すずきみきひろ)